実盛は白髪を黒く染めて出陣したエピソードの方が有名だが、老人と悔られるのが口惜しさに、若武者のように赤の直垂と萌葱繊の鎧を着けて最後の出陣を飾ったというのも相当な覚悟を表わしているわけだ。
この実盛は、当時―七十にも絵り―という。
萌葱のような明るく華やかな黄緑色は、現在でも、もちろん老齢や成熟を表わすにはそぐわないが、最近のハイティーソが、果して萌葱色を感じさせるような年代であるかどうか。
受験地獄や、青少年の自殺の話題などに接すると、若芽の萌えるはずの季節は、冷たい冬の嵐に遭っているような気がしてくる。